「風呂吹き大根(ふろふきだいこん)」 の由来
よくよく考えてみると、また何度も繰りかして言ってみると可笑しな名前、その由来を考えずにはいられない言葉ってたくさんあります。
今日はその中で「ふろふき大根」の由来について。
漢字を調べてみると、「風呂吹き大根」とのことなので更に謎が深まります。
風呂を吹くことは当然出来ないわけで、吹くとすればそれをわかすための焚き火等であることはその歴史から明らかです。(もちろん今ではガスや灯油、電気ですが)
それを炊きつけるために用いるとしても、それは竹筒が一般的でもしそれを野菜で代用するとしたなら、レンコン等が考えられ万一の状況でも、全く穴の無い、むしろ加工の面倒な大根を用いるとは考えにくく、だから風呂吹き大根という言葉は有り得ないと考えられるわけです。
■風呂吹き大根とは
風呂吹き大根(ふろふきだいこん)の調理法にしても大根を柔らかくゆで、練り味噌などをつけるというその工程からも風呂を吹くことになんの関係があるのかと考え込んでしまいます。
大根は厚さ数cmほど。皮を剥いで面取り。
鍋の底にはだし昆布。大根が柔らかくなるまでゆっくり煮る。
煮えたら、皿に盛り好みで砂糖味噌・ゆず味噌などをのせる・・・と。
細かく調べてもやはり風呂吹きが関係あるとは思えません。
■「風呂吹き大根」の由来
名前の由来は諸説あるようです。
その中からまず一つ。
漆器職人が冬になると漆の乾きが悪くて困っていました。
そんな時、ある僧から風呂(漆器の貯蔵室のこと)に大根のゆで汁を吹き込み、そこで乾かすとよいと教えられ、その通りにするとうまくいったのだそう。
しかし大量のゆで汁を取るためにゆでられた大根が、多量に余ってしまい困ります。
仕方なく近所に配ると、これが思いのほかおいしいと評判に。
そこから「風呂吹き大根」の名前が生まれたという説。
もう一つ。
大根は安くて体にもいいので「不老富貴(ふろうふき)」の意味からこの名前が来たとの説。
確かに安くて大きいから経済的。様々な料理にも使える便利物。
それが健康にいいといえばそんな名前がついても不思議はありませんね。
しかし、これらはいづれも大根がメインとして成り立つ説。
そもそも「風呂吹き」の材料がカブであったことから、その信憑性は薄いようです。
そこで有力と考えられるのが、「風呂吹き」は冷ましながら食べる仕草からきているというもの。
昔の風呂は今と違い、蒸し風呂の形態だったので熱くなった体に息を吹きかけ垢を擦り取る人がいたといいます。
そのような人々を「風呂吹き」と呼びました。
そういった息を吹きかける様子と、料理を食べる時に冷ます姿が似ていたことから「風呂吹き」と呼ぶようになったという説がそれです。
それでも、熱い料理をふぅふぅ言いながら食べるのは「風呂吹き」に限ったことではないので100%は納得できない自分がいます。
むしろ僧の説のほうがそれらしいような気もしますし、ふろうふきもその意味づけからも悪くはない。
もう一度食べてみてから自分なりにじっくり考えを深めてみたいと思います。
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